エモリエント成分には、主に以下の特徴があります。
- 水に溶けない
- 肌からの水分蒸散を抑える
- 撥水性の付与
- ツヤ感の付与
肌への保湿は、うるおいを与える保湿成分と水分蒸散を押さえるエモリエント成分の両方が大切。
化粧品を作る上で、エモリエント成分はとても大事な働きをしていると言えます。
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エモリエント成分とは
エモリエント(emollient)には、「柔軟にする」や「やわらげる」との意味があります。
肌の各層中に含まれる水分が蒸発することを防ぐ水分蒸散抑制および肌の柔軟性向上の作用に優れた成分のことをエモリエント成分と呼びます。
化粧品で使われるエモリエント成分は、分子構造によって主に7種類に分類されます。
炭化水素
炭素原子と水素原子だけで構成される分子の油。
液状から固形状まで様々あります。
肌からの水分蒸発を抑える働きに優れることが特徴です。
- ワセリン
- ミネラルオイル
- スクワラン
- 水添ポリイソブテン
- イソドデカン
- セレシン
- パラフィン
- マイクロクリスタリンワックス
高級アルコール
炭化水素の末端に水酸基が結合した油。
乳化安定作用に優れるため乳液やクリームによく使われます。
- ベヘニルアルコール
- セタノール
- セテアリルアルコール
- アラキジルアルコール
- ミリスチルアルコール
高級脂肪酸
炭化水素の末端にカルボキシ基が結合した油。
アルカリと反応させて石けんを作る(けん化)ための原料として使われることが多いです。
- ステアリン酸
- ミリスチン酸
- ラウリン酸
- パルミチン酸
- オレイン酸
- リノール酸
ロウ・ワックス
高級脂肪酸と高級アルコールが結合したエステル構造を主成分とする天然の油性成分。
ホホバ種子油のような液体やラノリンのような半固体のものもありますが、ほとんどの成分は常温で個体です。
温めると溶ける性質を持っています。
そのためスティック状化粧品の基剤・ツヤ感の付与・クリームの硬さ調整などの目的で使用されます。
- カルナウバロウ
- キャンデリラロウ
- コメヌカロウ
- ミツロウ
- ホホバ種子油
- オレンジラフィー油
- ラノリン
油脂
高級脂肪酸3分子とグリセリン1分子が結合したエステル構造(トリグリセリド)を主成分とする天然の油性成分。
常温で液体のものを油や脂肪油、半固体や固体のものを脂や脂肪と呼ぶ。
結合している高級脂肪酸の種類や比率は、元となる動植物によってさまざまで、感触や形状など特徴が異なります。
皮脂の主成分も油脂であり、皮脂が担っている水分蒸散抑制や皮膚柔軟効果などの働きを持つスキンケア効果に優れた油として多くの化粧品に使われる。
- オリーブ果実油
- ゴマ油
- コーン油
- パーム油
- メドウフォーム油
- ヒマワリ種子油
エステル油
脂肪酸または有機酸とアルコールとのエステル化反応によって構成された油性成分。
エステル油の中でも一価脂肪酸と一価アルコールのエステル化反応で構成された油は「合成ロウ」と呼ばれることがあります。
また、一価脂肪酸3分子とグリセリン1分子のエステル化反応で構成された油は、油脂の主成分と同じ分子構造(トリグリセリド)であるため、「合成油脂」と呼ばれることもある。
- エチルヘキサン酸セチル
- ミリスチン酸イソプロピル
- トリエチルヘキサノイン
- トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル
- テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル
シリコーン
ケイ素と酸素の繰り返し構造(シロキサン構造)が軸になっている成分。
他の油性成分同様に安全性、安定性、撥水性に優れている一方で、感触については他の油性成分と大きく異なり、滑りの良さやさらっとした感触が強いものが多いのが特徴。
高いウォータープルーフ性を出すために多量の油性成分を必要とするが、テカリやベタつきと言った油の嫌な部分は抑えたい日焼け止め家メイクアップ、ヘアケア製品を作る時によく使われる。
- ジメチコン
- メチコン
- ハイドロゲンジメチコン
- シクロペンタシロキサン
- ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン
エモリエント成分一覧
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