本サイトにおける品質保持剤は、以下のように定義しております。
- 製品の形状や性状を安定に保つために配合する成分
効能効果以外に、使いやすさや心地よさといった感性に訴えかける魅力の高さも化粧品にとっては重要です。
また、長期間にわたって安定性や安全性を維持する品質も重要ではないでしょうか。
これらの「魅力」や「品質」を担保するために配合する成分が、品質保持剤です。
品質保持剤とは
品質保持剤には、以下の6つの成分があげられます。
- 増粘剤
- pH調整剤
- 酸化防止剤
- キレート剤(金属封鎖剤)
- 紫外線防御剤
- 防腐剤
品質保持剤①:増粘剤
増粘剤は、化粧品の粘度を高め、使用感を向上させたり、タレ落ちを防いだり、製品系の安定化をはかったりする働きを持ちます。
化粧品に使われる増粘剤は大きくわけて2つ。
- 水溶性増粘剤
- 油溶性増粘剤
水溶性増粘剤
水に溶解し、液体の粘性を高める増粘剤。
海藻や植物などから抽出したもの、微生物発酵により生成されたもの、化学合成したものなどたくさんの種類があります。
油溶性増粘剤
油にとろみをつける増粘剤のこと。
水溶性増粘剤に比べるとほとんど種類がありません。
品質保持剤②:pH調整剤
pH調整剤は、化粧品のpHを適切な値にするために配合されます。
pH調整剤には「緩衝」と「中和」の2つの目的があります。
緩衝
緩衝とは、少量の酸や塩基を加えてpHをほぼ一定に保つはたらきのことです。
化粧品は、製造されてから使用が終わるまで、製品の目的に合ったpHを保つことが重要です。
化粧品にはpHが変動してしまうと効果出なくなる成分、安定性が保てなくなる成分などが含まれることがあります。
緩衝作用を持つ成分を加えることでpHを一定にし、安定な製品を作ることができます。
中和剤
中和とは、物質に対してそれぞれ反対の性質(酸性の場合はアルカリ性、アルカリ性の場合は酸性)の成分を加えてお互いの性質を打ち消しあうことを言います。
水溶性増粘剤であるカルボマーや(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーなどは水に分散すると酸性を示します。
そこにアルカリを加えて中和することで、粘度が出るという特徴があります。
また、石けんはステアリン酸などの高級脂肪酸とアルカリを反応(中和)させて石けんを作ります。
品質保持剤③:酸化防止剤
酸化防止剤は、自身が酸化されることで特定の成分に代わって酸化を防ぐ作用を持っています。
酸化されやすい成分の代表にレチノールがありますが、レチノールの酸化防止のためにBHTやアスコルビン酸などの酸化防止剤が使われます。
品質保持剤④:キレート剤(金属封鎖剤)
キレート剤は、製品に有害な影響を及ぼすカルシウムイオンや鉄イオンなどの金属イオンと結合し、金属イオンと他の成分との固有の反応を起こさなくする作用を持ちます。
キレート剤の配合目的には以下のようなものがあります。
何につかうか | 目的 |
---|---|
化粧品 | 酸化促進による油脂類の変臭や変色、機能性成分の阻害 |
透明系化粧品 | 濁り、沈殿 |
シャンプーをすすぐ水 | 泡立ちの悪化、金属セッケンの生成による毛髪のきしみ |
ン
品質保持剤⑤:紫外線防御剤
紫外線防止剤は、紫外線からの刺激を防ぐために配合します。
紫外線防止剤は、「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類に分けられます。
紫外線吸収剤
成分そのものが紫外線を吸収し、熱などのエネルギーに変換することで紫外線の影響を防ぎます。
白浮きしない、きしまない、粉っぽくないといった特徴があり、多くの日焼け止め製品に使われています。
人によっては刺激を感じる場合があります。
紫外線吸収剤として使われている成分
- メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
- メトキシケイヒ酸オクチル
- パラメトキシ桂皮酸エチルヘキシル
- ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
- ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
- t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン
- オクチルトリアゾン
- オクトクリレン など
紫外線吸収剤は厚生労働省が定める化粧品基準によって配合上限が定められています。
成分名 | 化粧品表示名称 | 100g中の最大配合量(g) |
---|---|---|
サリチル酸ホモメンチル | ホモサレート | 10 |
2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(別名:オクトクリレン) | オクトクリレン | 10 |
ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル | ジメトキシケイヒ酸エチルヘキサン酸グリセリル エチルヘキサン酸ジメトキシケイヒ酸グリセリル | 10 |
トリスビフェニルトリアジン | トリスビフェニルトリアジン | 10 |
パラアミノ安息香酸及びそのエステル | エチルPABA PABA グリセリルPABA | 合計量として 4.0 |
4-tert-ブチル-4′-メトキシジベンゾイルメタン | t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン | 10 |
成分名 | 化粧品表示名称 | 100g 中の最大配合量(g) | ||
---|---|---|---|---|
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの | 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの | 粘膜に使用されることがある化粧品 | ||
4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン | ー | 5.0 | 5.0 | 配合不可 |
サリチル酸オクチル | サリチル酸エチルヘキシル | 10 | 10 | 5.0 |
2,5-ジイソプロピルケイ皮酸メチル | ジイソプロピルケイヒ酸メチル | 10 | 10 | 配合不可 |
2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル | ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル | 10 | 10 | 配合不可 |
シノキサート | シノキサート | 上限なし | 5.0 | 5.0 |
ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン | オキシベンゾン-6 | 10 | 10 | 配合不可 |
ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム | オキシベンゾン-9 | 10 | 10 | 配合不可 |
ジヒドロキシベンゾフェノン | オキシベンゾン-1 | 10 | 10 | 配合不可 |
ジメチコジエチルベンザルマロネート | ポリシリコーン-15 | 10 | 10 | 10 |
1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン | ー | 7.0 | 7.0 | 配合不可 |
ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル | ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸エチルヘキシル | 3.0 | 3.0 | 配合不可 |
テトラヒドロキシベンゾフェノン | オキシベンゾン−2 | 10 | 10 | 0.05 |
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 | テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 | 10 | 10 | 配合不可 |
2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン | エチルヘキシルトリアゾン | 5.0 | 5.0 | 配合不可 |
トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル | トリメトキシケイヒ酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル | 7.5 | 7.5 | 2.5 |
ドロメトリゾールトリシロキサン | ドロメトリゾールトリシロキサン | 15 | 15 | 配合不可 |
パラジメチルアミノ安息香酸アミル | ジメチルPABAアミル ジメチルPABAペンチル | 10 | 10 | 配合不可 |
パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル | ジメチルPABAエチルヘキシル | 10 | 10 | 7.0 |
パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物(注1) | ジイソプロピルケイヒ酸エチル ジイソプロピルケイヒ酸メチル パラメトキシケイヒ酸イソプロピル | 10 | 10 | 配合不可 |
パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル | メトキシケイヒ酸エチルヘキシル | 20 | 20 | 8.0 |
2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン | ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン | 3.0 | 3.0 | 配合不可 |
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン | オキシベンゾン−3 | 上限なし | 5.0 | 5.0 |
ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩 | オキシベンゾン−4 | 10(注3) | 10(注3) | 0.1(注3) |
ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム | オキシベンゾン−5 | 10 | 10 | 10 |
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 | フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 | 3.0 | 3.0 | 配合不可 |
フェルラ酸 | フェルラ酸 | 10 | 10 | 配合不可 |
2,2′-メチレンビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール) | メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール | 10 | 10 | 配合不可 |
4-メトキシケイ皮酸 2-メチルフェニル | ー | 10 | 10 | 配合不可 |
※(注2)ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸としての合計量とする。
紫外線散乱剤
主に粉体で、物理的な仕組みで肌を均一に覆い、肌表面に受ける紫外線を乱反射させて紫外線の影響を防ぎます。
刺激を感じにくいといった特徴がある一方、白浮きやきしみを感じやすいなどのネガティブ要素があります。
紫外線散乱剤として使われている成分
- 酸化亜鉛
- 酸化チタン など
品質保持剤⑥:防腐剤
防腐剤は、化粧品中で微生物が繁殖することを防ぐ成分です。
化粧品を最後まで衛生的に使用するために重要な役割を果たします。
防腐剤は厚生労働省が定める化粧品基準によって配合上限が定められています。
成分名 | 化粧品表示名称 | 100g中の最大配合量(g) |
---|---|---|
安息香酸 | 安息香酸 | 0.2 |
安息香酸塩類 | 安息香酸K 安息香酸Na 安息香酸アンモニウム 安息香酸Al | 合計量として1.0 |
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン | アルキル(C12-14)ジアミノエチルグリシンHCl | 0.2 |
感光素 | プラトニン クオタニウムー73 クオタニウムー51 クオタニウムー45 | 合計量として0.002 |
クロルクレゾール | p-クロローmークレゾール | 0.5 |
クロロブタノール | クロロブタノール | 0.1 |
サリチル酸 | サリチル酸 | 0.2 |
サリチル酸塩類 | サリチル酸Na サリチル酸Mg サリチル酸TEA サリチル酸チタン | 合計量として1.0 |
ソルビン酸及びその塩類 | ソルビン酸 ソルビン酸Ca ソルビン酸K | 合計量として0.5 |
デヒドロ酢酸及びその塩類 | デヒドロ酢酸 デヒドロ酢酸Na | 合計量として0.5 |
トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル (別名トリクロサン) | トリクロサン | 0.1 |
パラオキシ安息香酸エステル及びそのナトリウム塩 | イソブチルパラベン イソプロピルパラベン エチルパラベン ブチルパラベン プロピルパラベン メチルパラベン ベンジルパラベン イソブチルパラベンNa エチルパラベンNa ブチルパラベンNa プロピルパラベンNa | 合計量として1.0 |
フェノキシエタノール | フェノキシエタノール | 1.0 |
フェノール | フェノール | 0.1 |
ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム | ラウリルジアミノエチルグリシンNa | 0.03 |
レゾルシン | レゾルシン | 0.1 |
成分名 | 化粧品表示名称 | 100g 中の最大配合量(g) | ||
---|---|---|---|---|
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの | 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの | 粘膜に使用されることがある化粧品 | ||
亜鉛・アンモニア・銀複合置換型ゼオライト(注3) | ケイ酸(アンモニウム/銀/亜鉛/Al) | 1.0 | 1.0 | 配合不可 |
安息香酸パントテニルエチルエーテル | 安息香酸パントテニルエチル | 上限なし | 0.3 | 0.3 |
イソプロピルメチルフェノール | o-シメン-5-オール | 上限なし | 0.1 | 0.1 |
塩化セチルピリジニウム | セチルピリジニウムクロリド | 5.0 | 1.0 | 0.01 |
塩化ベンザルコニウム | ベンザルコニウムクロリド | 上限なし | 0.05 | 0.05 |
塩化ベンゼトニウム | ベンゼトニウムクロリド | 0.5 | 0.2 | 配合不可 |
塩酸クロルヘキシジン | クロルヘキシジン2HCl | 0.1 | 0.1 | 0.001 |
オルトフェニルフェノール | フェニルフェノール o-フェニルフェノール | 上限なし | 0.3 | 0.3 |
オルトフェニルフェノールナトリウム | フェニルフェノールNa o-フェニルフェノールNa | 0.15 | 0.15 | 配合不可 |
銀-銅ゼオライト(注4) | (銀/銅)ゼオライト | 0.5 | 0.5 | 配合不可 |
グルコン酸クロルヘキシジン | グルコン酸クロルヘキシジン | 上限なし | 0.05 | 0.05 |
クレゾール | 混合クレゾール | 0.01 | 0.01 | 配合不可 |
クロラミンT | クロラミンT | 0.3 | 0.1 | 配合不可 |
クロルキシレノール | クロルキシレノール | 0.3 | 0.2 | 0.2 |
クロルフェネシン | クロルフェネシン | 0.3 | 0.3 | 配合不可 |
クロルヘキシジン | クロルヘキシジン | 0.1 | 0.05 | 0.05 |
1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン | DMDMヒダントイン | 0.3 | 配合不可 | 配合不可 |
臭化アルキルイソキノリニウム | ラウリルイソキノリニウムブロミド | 配合不可 | 0.05 | 0.05 |
チアントール | チアントール | 0.8 | 0.8 | 配合不可 |
チモール | チモール | 0.05 | 0.05 | 上限なし (注1) |
トリクロロカルバニリド | トリクロカルバン | 上限なし | 0.3 | 0.3 |
パラクロルフェノール | p-クロロフェノール | 0.25 | 0.25 | 配合不可 |
ハロカルバン | クロフルカルバン | 上限なし | 0.3 | 0.3 |
ヒノキチオール | ヒノキチオール | 上限なし | 0.1 | 0.05 |
ピリチオン亜鉛 | ピリチオン亜鉛 | 0.1 | 0.01 | 0.01 |
ピロクトンオラミン | ピロクトンオラミン | 0.05 | 0.05 | 配合不可 |
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル(注5) | ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル | 0.02 | 0.02 | 0.02 |
ポリアミノプロピルビグアナイド | ポリアミノプロピルビグアニド | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
メチルイソチアゾリノン | メチルイソチアゾリノン | 0.01 | 0.01 | 配合不可 |
メチルクロロイソチアゾリン・メチルイソチアゾリン液(注2) | メチルクロロイソチアゾリノン メチルイソチアゾリノン | 0.1 | 配合不可 | 配合不可 |
N,N”-メチレンビス[N’-(3-ヒドロキシメチル-2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル)ウレア | イミダゾリジニルウレア | 0.3 | 配合不可 | 配合不可 |
ヨウ化パラジメチルアミノスチリルヘプチルメチルリアゾリウム | ヨウ化ジメチルアミノスチリルヘプチルメチルチアゾリウム | 0.0015 | 0.0015 | 配合不可 |
※(注2)5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 1.0~1.3%及び2-メチル-4-イソアゾリン-3-オン 0.30~0.42%を含む水溶液をいう。
※(注3)強熱した場合において、瓶として0.2%~4.0%及び亜鉛として5.0%~15.0%を含有するものをいう。
※(注4)強熱した場合において、銀として2.7%~3.7%及び銅として4.9%~6.3%を含有するものをいう。
※(注5)エアゾール剤へ配合してはならない。
品質保持剤の一覧
準備中