化粧品(医薬部外品)に使われるレチノールに関する成分を解説。
レチノールは多くの化粧品や医薬部外品に配合されています。
このページでは、レチノールの表示名称や安全性、配合目的、効能・効果などを解説していきます。
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レチノールの成分概要
安全性 EWGスコア | |
表示名称 | レチノール |
医薬部外品名称 | – |
INCI名称 英文名称 | Retinol |
中文名称 | 视黄醇 |
韓国語 | 레티놀 |
配合目的 | シワ改善 など |
CAS 登録番号 | 68-26-8 11103-57-4 |
定義 | 本品は、次の化学式で表される共役不飽和脂環式アルコールである。 C20H30O |
アメリカの非営利環境団体による安全性スコアのこと。
詳しくは、右の青いリンクから確認してください。(ここをクリック)
レチノールの解説
一般的に、「ビタミンA」と呼ばれる成分です。ビタミンAアルコールとも言われ、活性型のビタミン誘導対。
医薬部外品名称「レチノール」は、2017年に医薬部外品のシワ改善有効成分として厚生労働省に承認されました。
一般に「純粋レチノール」とよばれており、今のところ資生堂だけが使うことができる有効成分です。
※多くの化粧品メーカーが使用できる「シワを改善する」を標ぼうできる有効成分は『ナイアシンアミド』のみ。
水には溶けず、アルコールや油剤に溶ける性質があります。
皮膚や粘膜の正常な代謝を促進する働き(ターンオーバー)があり、肌を正常な状態に保ちます。
また、ターンオーバー促進だけでなく、ヒアルロン酸の産生促進作用があります。
レチノールは成分自体の安定性が悪いため、化粧品に長期間安定的に配合するには技術が必要です。
レチノールがシワに効く作用機序
資生堂によると、レチノールは培養したヒトの表皮角化細胞でヒアルロン酸の産生を顕著に促進します。
ヒアルロン酸は水分保持や皮膚の弾力性の維持などに関与しており、加齢とともに減少することが知られている重要な成分。
レチノールはヒアルロン酸の産生を増加させ皮膚に柔軟性を与えることで、シワを改善します。
安全性について
EWGによる安全性スコアはレッド。
20年以上の使用実績がありますが、成分自体がとても不安定であるため、各化粧品メーカーがどのように安定的な製剤を作っているかがとても重要となります。
また、Merck社によるレチノールのSDS(安全データシート)によると、毒性情報は以下の通りとなっています。
急性毒性 | LD50 経口 – ラット – オスおよびメス – 9,560 mg/kg (OECD 試験ガイドライン 401) |
皮膚腐食性/刺激性 | 皮膚 – ウサギ 結果: 陰性 – 4 h (OECD 試験ガイドライン 404) |
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 眼 – ウサギ 結果: 眼への刺激、7日以内に回復 – 24 h (OECD 試験ガイドライン 405) |
呼吸器感作性又は皮膚感作性 | ビューラー法 – モルモット 結果: 陽性 (OECD 試験ガイドライン 406) |
生殖細胞変異原性 | 試験タイプ: Ames 試験 テストシステム: 大腸菌/ネズミチフス菌 代謝活性化: 代謝活性化の存在または不存在 方法: OECD 試験ガイドライン 471 結果: 陰性 |
発がん性 | データなし |
生殖毒性 | 胎児への悪影響のおそれ。 生殖能への悪影響のおそれ。 |
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | データなし |
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | データなし |
誤えん有害性 | データなし |
備考 | 妊娠中の高濃度暴露により、先天性の異常が起こる可能性がある。 ビタミン過剰症A、黄色色素沈着、被刺激性、食欲不振、胃腸不全、繰り返し曝露すると、皮膚乾燥またはひび割れを引き起こす可能性がある。 高濃度暴露によりビタミンAの急性中毒を生じることがある。 鎮静、頭痛、剥脱性損傷化学的、物理的および毒性学的性質の研究は不十分と考えられる。 |
以上の結果より、レチノールは使用方法によっては肌に異常を生じさせる可能性があります。
使用方法をしっかりと守り、少しでも異常が生じた場合は使用を中止しましょう。
A反応とは
レチノールA反応とは、レチノールを塗布した後に生じる下記のような症状をことを言います。
(「レチノールによる副反応」「レチノイド反応」「ビタミンA反応」とも呼ばれることもあり。)
- 乾燥
- 皮むけ
- 赤み
- かゆみ
- 痛み
- 肌荒れ
- ごわつき
レチノールはターンオーバーを促進させ、肌を健やかな状態に導く作用がありますが、効果が強すぎて副反応が出る場合があります。
- 敏感肌の方
- 皮膚炎(アトピー・酒さなど)を患っている方
- 肌の赤みが強い方
上記のような方々は、A反応が出やすいと言われています。
また、レチノールの濃度が高いほどA反応が出やすくなります。
A反応が出ている間は、レチノール製品の塗布は控えましょう。
そのまま化粧品類の使用を続けますと、症状を悪化させることがありますので、皮膚科専門医等にご相談されることをおすすめします。
配合規制について
日本では特に規制はありません。
2001年4月の薬事法改正前までは、約0.075%までの配合しか認められていませんでしたが、現在は撤廃されています。
※実際の配合上限は100g中に250,000IU
(撤廃のソースはこちら:化粧品に配合可能な医薬品の成分について 薬食審査発第 0524001 号)
脂溶性ビタミンやホルモン、酵素、薬物などの活性を示す単位。
ビタミンA(レチノール)の場合は、1IU=0.3µgとなっています。
(参考:ビタミンA 厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』)
また、カナダでは配合上限が1.0%となっております。(カナダ Cosmetic Ingredient Hotlist)
レチノールが使われている化粧品一覧
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エリクシール ホワイト エンリッチド リンクルホワイトクリーム S
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